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ライティング事業 2020.12.23
#07うちのアマダサン「クライアント様の社員撮影にて、凄すぎる演出」
浅井 ユキコ
放送作家、コピーライター、編集・ライター
二十歳の時、放送作家事務所に所属し日本テレビ「高校生クイズ」などを担当。その後、活動領域を活字媒体に広げるべく広告代理店(株)エス・ピー・サービスに転職しコピーライターを学ぶ。さらに住宅雑誌では編集長を務めたことで、メディア(放送作家)、広告(コピーライター)、雑誌(編集・ライター)という3ジャンルに携わることができる異色の物書き。現在では自身が起業したライター集団(株)LOCOMO&COMOの代表と、社会貢献事業を行う一般(社)TERACO舎の理事を務めるなど、精力的に活動している。個人としては先祖代々ジャイアンツファンを語り、甲子園に行くために受験校を選択するなど大の高校野球好き。また、病院の病棟で看護補佐を行うなど何足ものわらじを履く意外性もある。
ご無沙汰してしまいすみません。
お読み頂いている皆様から
「そろそろネタが尽きたんじゃない?(笑)」
などという心配のお声を多々頂戴しております。
いえいえ、
ネタはあちらから
土足でやってきます
ネタが尽きたのではなく、
わたくしも年末進行になりお仕事が忙しくなった為で、
そんな状況下で、
年がら年中アマダサンのことだけを考えて生きている訳ではないのですよ。
さて、今回はタイトルの件をお話しさせて頂きましょう。
新卒採用に関するお仕事を請け負った時のお話です。
大きな企業様は、毎年新卒者を採用していらっしゃいます。
企業様にとって、自社の社風を理解し、また魅力溢れる人材の確保は、
当然、会社の未来を左右する一大事。
わたくし共のクライアント様も、
新卒採用に関する事業に対し相当のエネルギーを注いでいらっしゃいます。
そんな社運をかけた一大事を、
クライアント様は
うちのアマダサンに託してくださるのです
毎年毎年、本当にありがたいことです。
新卒採用では、ホームページや冊子などを制作して、
「我が社にはこんな魅力的な人材がいます。
ぜひこの熱さや想いに賛同できる方は
エントリーしてください」
ということをメッセージします。
よって、先輩たちの姿を掲載することは、非常に重要であり、
そのキラキラ輝く先輩たちの姿やメッセージを見て
応募する・しない
適した人材が来る・来ない
に大きく左右します。
企業様の社運を懸けた社員紹介は、
アマダサンの演出にかかっています。
そんな、ある日のインタビュー&撮影でのお話が下記の通りです。
「お前さぁ、
迷彩服持ってんだろ?」
「お前」とは当然、
クライアント様の若手男性社員の方です。
1〜2年前に卒業した大学が、防衛大学校という異色の経歴の方でした。
「いえ!
僕は持ってません」
「なんで持ってないんだよ」
「迷彩服って、あれは国費なので……
個人で所有することはできないんですよ」
「わかった、じゃあ
Amazonで買っとくから
来週撮影な」
新卒採用に関し、
多くの学生さんがエントリーしてくることに期待するコンテンツにて、
迷彩服がどう関係してくるのかという話ですが、
アマダサンのスーパー演出の中では必須だったのでしょう。
ということで一週間後。
「太郎さん、着て参りました!」
Amazonで買った迷彩服とブーツに身を包んだ、
防衛大学校出身のカッコいいクライアント様が、
アマダサンの前にビシッと立っています。
まるで軍隊長に敬礼するかのような勢いです。
「よし。じゃあ撮影に行くぞ」
「はいっ!」
「で、お前。銃は?」
「銃ですか?
そんなの持ってないですよ」
「なんで持ってないんだよ」
「……なんでって。
持ってるわけないでしょ!!」
という、真面目な会話が交わされた後、
できる限り臨場感を持たせたいと、
クライアント様とアマダサンは真剣に悩みます。
「じゃビニール傘、持ってこいよ」
「はいっ!」
一応確認ですが、
アマダサン → 業者
迷彩服の方 → クライアント様
です。
よって、演出指示はあってよしですが、主従関係がおかしくなっています。
が、お互い「新卒採用に効果的な、いいものを創ろう」
という思いが合致したところで、
そこはさして問題になっていないようでした。
そして2人は、クライアント様の所在地の裏手にある都心の公園にやってきました。
「お前、迷彩服って
どういう意味かわかるか?」
「意味ですか?」
「そう、意味。
じゃあ教えてやる。
カモフラージュだ」
「あぁーまあそうですね」
「じゃああの藪の中で
カモフラージュしよう」
念のため確認ですが、これは、
大の大人2名が、社運を懸けた一大事に臨んでいるある日の会話です。
「この辺でカモフラージュすれば
いいでしょうか」
「いやいや、ちっともカモフラッてねえよ。
それじゃあすぐに敵に攻撃されちゃうだろ。
いいか? 俺が見本を見せてやるから」
と、自衛隊に入ったこともないアマダサンが、
防衛大学校出身のクライアント様に、
ほふく前進のパフォーマンスや、
ビニール傘を銃に見立てて藪の中から射撃体勢に入るパフォーマンスを
次々にやってみせています。
「おおーいいねえ!
だいぶ自衛隊の人っぽく
見えるようになったな!」
普通に自衛隊の人だったのですが、
褒めたかったようです。
アマダサンがご満悦になったところで撮影は終了。
「太郎さん、
ありがとうございました!!」
素人に銃の構え方を教わり、お礼を言う心優しきクライアント様。
しかしこの構図は、この防衛大学校出身のクライアント様だけではないのです。
「お前、ちょっと脱いでみようか」
「え? 脱ぐんですか?
会社のPR冊子なのに?(笑)」
「だってお前の魅力は、
鍛え上げている筋肉なんだろ?
じゃあ脱ぐしか道はないじゃないの」
といってスーツを脱ぎだした若手男性社員様。
最初は照れていたものの、徐々に慣れて楽しくなって来たのか、
「こんなセクシーポーズ
どうっすかねえ!(笑)」
「おおーいいねえー」
などと、逆にアマダサンをのせていっています。
クライアント様の本社の中庭で、
裸にタオル地のガウンを羽織った男性が、
天を見上げてアンニュイなポージング。
しかしよく見れば、
足下はサラリーマンだとわかる黒の革靴です。
これは、完全に“お笑い”の域……。
こんな調子で大丈夫なのか、
本当にクライアント様はこのような演出を望んでいらっしゃるのか、
当然ながら不安でしかないわたくしをよそに、
“わかりあっている”クライアント様とアマダサンは、
「いやぁ〜太郎さん、
今日の撮影は良かったですねぇ〜!!」
「だろ?
ただもうちょっと
弾けさせたかったなぁ〜」
などと今日の日を振り返っています。
いえ、十分だと思います。
アマダサンは今日、
立派な企業にお勤めの
クライアントの皆様に対し
ビニール傘の銃を持ってほふく前進させ、
会社の中庭で服を脱がせて裸にし、
商店街の真ん中で社交ダンスを踊らせ、
道端の花と会話をさせて、
います
そんな楽しいお仕事を、
ありがたいことに今年もいただきました。
お仕事を“おかわり”していただいてはじめて、
「アマダサンはいい仕事をしていたんだ」とやっとほっとできます。
つまり1年間はずっと、
もっと上の偉い方からクレームが入るのではないかと
ビクビクした日を過ごしております。
「え? お前結婚したの?
去年もツマンナかったけど、
ますます
ツマンナイ男になったなぁ〜(笑)」
「ありがとうございます!(笑)」
「今年も脱ぐか!」
「はいっ!」
「あ、やっぱいいや。
去年のそのまま使うわ」
「……あ、そっすか(苦笑)」
今年もこの調子です。
結婚を報告された場合、普通は「おめでとう」というのだと、
心あるどなた様か、
アマダサンに教えてやっていただけないでしょうか。
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