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ライティング事業 2023.10.23
#30 うちのアマダサン「バイクが好きだか何だか知らんけど」
浅井 ユキコ
放送作家、コピーライター、編集・ライター
二十歳の時、放送作家事務所に所属し日本テレビ「高校生クイズ」などを担当。その後、活動領域を活字媒体に広げるべく広告代理店(株)エス・ピー・サービスに転職しコピーライターを学ぶ。さらに住宅雑誌では編集長を務めたことで、メディア(放送作家)、広告(コピーライター)、雑誌(編集・ライター)という3ジャンルに携わることができる異色の物書き。現在では自身が起業したライター集団(株)LOCOMO&COMOの代表と、社会貢献事業を行う一般(社)TERACO舎の理事を務めるなど、精力的に活動している。個人としては先祖代々ジャイアンツファンを語り、甲子園に行くために受験校を選択するなど大の高校野球好き。また、病院の病棟で看護補佐を行うなど何足ものわらじを履く意外性もある。
「僕はバイクが好きなんです」
なんかブログで書いてましたね、アマダサン。
※アマダサンのブログ「僕とバイクと、バイクと“コロ”と。僕の大好きなバイクの話」
私はその大型バイクの免許を取りに行くことに関し、
「やめてくれ」
と言ったんです。
だってですよ?
あの御方、根っからの“ランボルギーニ”じゃないですか。
ええ、つまりガサツ、、、
乱暴者からの派生で“ランボルギーニ”。
「キ●ガイに刃物、バ●にはさみ、
アマダサンにバイク」
って言うじゃありませんか。
怖いですよ。
アマダサン ✕ バイク──。
ああ、嫌な思い出しか思い出せない。
あれはまだ20代。
ワタクシとアマダサンは、テレビの制作の仕事をしていました。
日本テレビの『高校生クイズ』の時です。
「ユキ、腹減ったな。
赤坂までたこ焼き
買いに行くか」
「行く行く〜!」
仕事がてんこ盛りで、ちょうど集中力が切れたところ。
お腹もすいたし、
景色を変えて新鮮な風を取り込みたかったので、
ワタクシは二つ返事で賛成しました。
先に会社を出た、せっかちなアマダサンを追って、
1階まで降りてみると、、、
「おまえ、ヘルメット
持ってこいよ」
はあ〜〜〜〜〜あ!?
ワタクシはバイクなど持っておりませんので、
ヘルメットを持っているわけがありません。
なのに「当然」のことのように
上記のようなセリフをぬかしやがるのです。
「持ってないけど」
「じゃあ、おまえ置いてく」
なんかムカつきますよね、この会話。
若かったワタクシはムキになり、
社内に保管してある
非常用の白いヘルメットを持ってきました。
「持ってきた」
「えっ! おまえ、
まさかとは思うけど、
それかぶるの!?」
「だって、これしかないから」
そういってワタクシは、
白い工事用のヘルメットをかぶりました。
内側には「ハンモック」と呼ばれる、
頭を固定するプラスチックがついています。
なので、かぶると、頭の上に少し浮いた状態。
ライダーのヘルメットのように、
すっぽりとカッコ良くおさまっているのとは随分違う。
しかも、ヘルメットを固定するため、
耳ひも、アゴひもがついています。
はっきりいって“お笑い”です。
「おまえ、
信号が赤で停まった時、
横の車とか見るなよ」
「なんでよ」
「バカ! 恥ずかしいだろ(笑)
俺のバイクは
アメリカンなんだよ」
ケッ。
アメリカンだか何だか知らねえけどよ。
ということでワタクシは、
赤坂までまっすぐ前だけを向いて
たこ焼きを買いに行きました。
またある時はこうです。
その時も『高校生クイズ』で、
みんなの食料を調達しにバイクで出かけました。
ちょうど皇居前の警視庁の前を通過した辺りです。
ウゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜!!!!!!!
「はい、そこのバイク、
左に寄って停車してください」
ワタクシの背後から、
けたたましいサイレンの音と共に、
白いバイク──ええ、つまり白バイが!
(ひぃぃぃぃぃ怖い!!!)
振り返ってみると、
顔を真っ赤にして、烈火の如く怒り狂う、
威圧感の塊が全力で突進してきます!!
──そう見えただけです。
本当にそう見えたのです。
実際は、普通に白バイのお巡りさんが、
赤色灯を点けて後に続いて来ているだけですが。
Uターン禁止のところでUターンをした、
ということで違反切符となったのでした。
(運転へたか、バカモノ)
それ以降、どんなに空腹でも、
食料の買い出しに一緒に行くのをやめました。
時は変わって──。
そうですねえ、今から5〜6年前の話です。
ええ、ちょうどアマダサンが大型バイクの免許を
取りに行くと言い出した頃です。
社内で、大声で、ワタクシを含めたみんなに
“自慢のように!”、こう言うのです。
以下はワタクシとアマダサンのやりとりです。
「俺こんど、
大型バイクの免許を
取ることにした〜♪」
「やめなさい」
「なんで」
「事故るよ」
「事故らないよ」
「つかまるよ」
「それはあるかもな〜」
「やめなさい」
「もう申し込んだ」
「バカモノ」
そして免許を取ってきました。知らんわ。
そんな中、弊社と非常にお付き合いのある方が、
選挙に出馬するということで、
弊社メンバーが全力で応援することになりました。
ワタクシなんて!!!
なななんと「うぐいす嬢」として参加したのですよ!
今では更年期なのか、毎朝ノドがガラガラで
おっさんのような声だというのに。
準備から1ヶ月ぐらいの出来事だったでしょうか、
実は非常に短い期間だったのだと思いますが、
この「絶対に負けられない戦い」に、
ワタクシも熱き想いをマイクに込め、
魂の訴えで街じゅうを選挙カーで巡る日々。
初夏の出来事ですので、
額に汗をかきながら声を張り上げます。
その途中途中、沿道で、マンションのベランダで、
大きく手を振りながら「頑張れよ〜!」と
声を出して応援してくださる地元有権者の方々。
感激のあまり思わず「うっ」と
込み上げてくるものを堪えながら、
努めて爽やかな声と、力強いメッセージで
駆け巡り“きり”ました。
そして迎えた投票日。
夕方頃から選挙事務所にスタッフが集まります。
テレビでは開票速報の番組が組まれ、
各地の当確を伝えていきます。
その時ですよ!!!
ドでかいバイクに乗って、
場違いな“つなぎ”を着て、
ブルルン、ブルルンと
選挙事務所の前に
やってきたのです!!!
(なんだなんだよっ!!!!!!!
おまえの格好は!)
ヘルメットを取りながら選挙事務所に入って来た瞬間、
ワタクシたちが命の限り応援した方に、
当確がつきました!
歓喜! 歓喜! 歓喜!!!!!!
当然、この瞬間のために戦ってきたご当事者、
そして仲間たちは、
雄叫びに雄叫びをあげ、
全身全霊のガッツポーズで喜び合いました。
それなのに──
さして何もしていない
アマダサンが
どわぁ〜〜〜っと涙を流し、
「ユキィ〜〜、おまえ、
よく頑張ったなあ〜ううう(泣)
ほんと良かった、
俺はうれしいよ(号泣)」
と、人一倍泣き、まわり中の人と握手をかわし、
「いやぁ〜、ほんと良かった。
じゃあ俺はこれで」
と言うと、選挙事務所を後にし、
目の前に停めてあったバイクにまたがり
エンジンをかけました。
唖然だよ(笑)
その去り際のひと言は、、、今でも忘れられません。
「じゃあね、
アディオス!!」
早よ帰れ、バカモノ。
そんなこんなで、アマダサンのバイク話に、
ワタクシとしてはちっともいい思い出がございません。
ということで。
じゃあね、アディオス。
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