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2022.5.18

#23 うちのアマダサン「真剣な悪ふざけで望む、部下の結婚式」

enpitsu

浅井 ユキコ

放送作家、コピーライター、編集・ライター

二十歳の時、放送作家事務所に所属し日本テレビ「高校生クイズ」などを担当。その後、活動領域を活字媒体に広げるべく広告代理店(株)エス・ピー・サービスに転職しコピーライターを学ぶ。さらに住宅雑誌では編集長を務めたことで、メディア(放送作家)、広告(コピーライター)、雑誌(編集・ライター)という3ジャンルに携わることができる異色の物書き。現在では自身が起業したライター集団(株)LOCOMO&COMOの代表と、社会貢献事業を行う一般(社)TERACO舎の理事を務めるなど、精力的に活動している。個人としては先祖代々ジャイアンツファンを語り、甲子園に行くために受験校を選択するなど大の高校野球好き。また、病院の病棟で看護補佐を行うなど何足ものわらじを履く意外性もある。

「社歌! 斉唱!」


突然ですが、うちの会社、
社歌があるんですよ(笑)
皆さんの会社にはありますか? 社歌。

この社歌を披露したのは、
弊社デザイナー・KKの結婚式のとき。

先のようなアマダサンの号令により、
社員のひとりがピアニカで伴奏を弾き始めます。

ワタクシちょっと唄ってみます。

……………………。

ああ、どんな歌だったかな。
出だしが思い出せないです。
サビはこんな感じでした。

♪ら〜んららら〜ん
 ら、らんらんら〜ん
 あしたも晴れるよ げーんきー
 エス・ピー・さあびす〜


幼稚園のお遊戯みたいな歌ですね。
作詞はご存知、うちのアマダサン です。

しかしこの曲、プロの作曲家が作ったもの。
だから聞き馴染みの良い、
めちゃいい曲なんです。

どうしてプロの作曲家なのか?
それは、お仕事を通じて知り合った方が、
アニメソングやプロ野球の球場で流す音楽を
手掛けていらっしゃり、
オーディション用に作った“未使用曲”があると。
その一曲を拝借したのですね。

 

この“オリジナルの社歌”を、
披露宴会場で発表させていただいたのです。
もう10年以上前の話になりますがね。

その時の一部始終を今からお話します。

 

「これより、K井君の
 結婚パーティを開催します」


会場にこの言葉が響くと、
社員の男性ひとりが会場奥からダダダ〜ッと走り、
壇上に掲げられた
“2人の写真”
に向かいこう言うのです。

「만세(マンセー:万歳) 
 만세(マンセー:万歳)」


この男性社員は声高に敬意を評しながら、
それに伴い2度頭をさげます。

ちなみに“2人の写真”とは、

「新郎新婦」ではなく、

「天田桂一・太郎」親子


つまり、会社の創業者と現社長。
K井君の結婚式なのに? 
天田親子?ですよね。

はい、2人の写真を、
それぞれタタミ一畳分ほどの
バカでかいサイズに引き伸ばして、
天井から吊っています。

その素材と設置工事は、
日頃より仕事でやりとりしている
パネル会社に「発注」しました。

掲げられている写真の下には、
天田親子がそれぞれの椅子に
“威厳のある顔”をして座っています。

それはまるで

北朝鮮の、、、


故総書記と、現総書記、の
ソレのようです。

男性社員の、2度目の
「만세(マンセー:万歳)」を合図に、
静まり返った会場で
社員全員だけがわっと立ち上がり、
同時に結婚当事者のK井君自らも
立ち上がると、どでかい声で

「만세(マンセー:万歳)!!!!!」


と叫び、天田親子に向かい、ひれ伏すのです。

ワタクシもやったのか?
ええ、やりました。
独裁政権下組織の一員なので。

この「만세(マンセー:万歳)」が終わると、
先ほど駆け寄ってきた男性社員が
おもむろにピアニカを取り出し、
社歌の伴奏を弾きはじめます。

♪ら〜んららら〜ん
 ら、らんらんら〜ん
 あしたも晴れるよ げーんきー
 エス・ピー・さあびす〜


そしてこのご陽気な社歌の披露となりました。

ちなみにこの社歌には振り付けもあり、
最後の「エス・ピー・さあびす〜」
と社名を高らかに唄うところで、
右手を応援団の「フレ〜、フレ〜」
のような感じで振り上げるのです。

 

この式典の内容は誰が考えたか?

決まってるじゃないですか、
うちのアマダサン
です。

 

「K井! 結婚すんの?」

「あの子と?」

「社員旅行でナンパした」

「あの子と?」


実際にナンパしたのは、
創業者の桂一です。

それはアメリカに社員旅行に行った時のこと。

ラスベガスとロサンゼルスへの旅でしたが、
2組に別れて楽しむ日程も組まれていました。

・ラスベガスでのゴルフ組 
 ワタクシもアマダサンもこちらの組で楽しみました。

・グランドキャニオン組 
 結婚当事者のK井君、
 そして創業者で顧問の桂一他数名はこちらへ。

グランドキャニオン組はセスナに搭乗し、
壮大な景色を一望します。
そんな感動的な上空で、
創業者・桂一は
後にK井の嫁となる女性に声をかけるのです。

「あんた一人で来たの?」


その女性は大手企業にお勤めの方で、
出張でアメリカに来たついでに
観光も楽しんでいたようでした。

みんなで記念写真を撮ったらしいのですが、
当時はLINEなど手軽なものがなかった為、

「撮った写真……
 おい、K井。
 おまえアドレス訊いて
 送ってやれ」


それが恋のはじまりになりました。

 

よって、

お給料を貰っている上、
嫁まで貰える
ことになったK井

は、

この会社の経営者である天田親子に
頭が上がらないだろ?

と圧をかけられる形となり、
先の北朝鮮的な演出になったわけです。

それ以外にも出し物としては、
当時流行っていた
書籍『世界の中心で愛を叫ぶ』(映画、ドラマ化)
にちなみ
「グランドキャニオンの中心で愛を叫ぶ」
と題したパロディドラマを上映したりしました。

まあ、それは見ていただかないと
バカバカしさが伝わらないのでこのぐらいに。

 

また、別のデザイナー
KY君の結婚式では。


結婚式に招待された
男性社員のドレスコードに対し、
アマダサンは、こんな司令を出します。

「おまえら礼服禁止な」

「礼服禁止!? 
 どんな格好で行けば
 いいんですか?」


驚く社員にアマダサンはこう言い放ちます。

「いいか?メモしろよ?」 

「男は全員」

「白のワイシャツ」


従順な我が社員たちは、
言われた通り、メモ帳に
・白のワイシャツ
などとメモしています。

それにしても白のワイシャツなら
まったく問題ないですし、
むしろメモするまでもありません。

「それから」


それから?

「ブレザー」

「できれば紺」


いいじゃないですか。
しっかりフォーマルの装いになっています。
ワタクシもほっとしました。

社員たちもメモ帳に
 ・ブレザー(紺)
などとメモしています。

「それから」


はい、それから、、、

「ソックス」


そこまで指定しなくてもいいんじゃないか。
誰もがそう思ったはずです。
学校の制服指定ではないのだから。

しかし我が社員たちは熱心にメモします。 
 ・白のワイシャツ
 ・ブレザー(紺)
 ・ソックス   

「それから」


まだある。

「ネクタイ」

「…………」


あまりにも普通すぎて、
みんなメモ帳から顔をあげ
アマダサンを見ています。

「太郎さん、要するに
 結婚式に出られる
 フォーマルな格好でいい
 ってことですよね」


しびれを切らしたのは、
当時年長者だったデザイナー。
アマダサンにそう尋ねました。

「いいんだけど、違う」

「ここが肝心」

「ちゃんとメモしろよ?」


再びみんな、メモを取る姿勢に戻ります。

 

「短パン」

「…………」


リアクションが無いので、
もう一度いいました。

「短パン」

「…………」


しばらくして、松がこう言いました。

「それ……」

「名探偵コナンですね」

ということで、
何人もの名探偵コナンが出来上がり、
ご両家、並びにご親族、
ご友人に挨拶していました。

それにしてもみんな若い!!

 

社内の平均年齢もあがり
結婚式を控えている社員もいない為、
アマダサンの出番も最近ではありません。

どなたかアマダサンに結婚式を盛り上げてほしい!
という奇特な方がいらっしゃいましたら
ぜひワタクシまでご連絡くださいませ。

 

 

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