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2022.4.7

#22うちのアマダサン「アマダサンは意外とミュージシャン」

enpitsu

浅井 ユキコ

放送作家、コピーライター、編集・ライター

二十歳の時、放送作家事務所に所属し日本テレビ「高校生クイズ」などを担当。その後、活動領域を活字媒体に広げるべく広告代理店(株)エス・ピー・サービスに転職しコピーライターを学ぶ。さらに住宅雑誌では編集長を務めたことで、メディア(放送作家)、広告(コピーライター)、雑誌(編集・ライター)という3ジャンルに携わることができる異色の物書き。現在では自身が起業したライター集団(株)LOCOMO&COMOの代表と、社会貢献事業を行う一般(社)TERACO舎の理事を務めるなど、精力的に活動している。個人としては先祖代々ジャイアンツファンを語り、甲子園に行くために受験校を選択するなど大の高校野球好き。また、病院の病棟で看護補佐を行うなど何足ものわらじを履く意外性もある。

いつもお読みいただきましてありがとうございます。

「『うちのアマダサン』、もっと更新頻度をあげてよ」
というお声を多めに頂戴し、
「サボってるんじゃないか」
とまで言われております。

はい、そのとおりです、すみません。

それでは今回もよろしくお願いします。

 

「ひゃっほーー!!
 万里の長城すげえ〜〜〜」

 

もう何年前かは忘れましたが、
我社はその昔、幾度か社員旅行に行ったことがあります。

先の雄叫びは、中国・北京へ行ったときの
アマダサンの感想です。

「万里の長城っていったら
 シルクロードでもある。
 この道がその昔、
 貿易に使われてた
 っていうんだから、
 ロマンあるじゃなーい♡」

 

歴史が好きなアマダサンは、
万里の長城でスキップ
しながら、終始ごきげんでした。

私たちはその歴史的建造物に感心しながら、
一歩一歩踏みしめて歩いていたのですが、
アマダサンはテンションMAXでスキップ。
私たちをおいて、
ずいぶん先の方まで行ってしまいました。

 

そんなアマダサンの行動など気に留めることなく
歩き進めて行くと、

少し先の方で楽器の音色と、
「おぉ〜〜〜!!」という人々の感嘆の声、
そして拍手が聞こえます。

(大道芸人か誰かが、
 なにか催し物でもしてるのかな?)

 

楽しそうだから私も見てみたいと、
足早に拍手が起こっている現場に向かってみて……

 

ワタクシは、驚愕しました。

 

「センキュー、センキュー(笑)
 じゃ、もう一曲やりまーす」

 

ええ、拍手を浴びているのは、
あろうことか、うちのアマダサンです。

 

(バカヤロウーーー!! 
 なにやってんだよ、
 あいつは〜!)

 

ここ、中国へ来てまで悪ふざけは止まりません。

なんと、長城の壁に片足をあげながら、
アマダサンはネックレスの装飾としてついている
ミニチュアの「ハーモニカ」で、
外国人観光客を相手に一曲披露しているところでした。

 

アマダサンのハーモニカは上手いのか?

 

ご想像にお任せします!!

 

とはいえ、その強心臓は大したもの。

ちなみに演奏した曲目は、世界の名曲、
ビリー・ジョエル『ピアノマン』でした。

原曲がどんなだったかわからないほど
“アマダサン流”に仕上がっており、
皆さんあれが『ピアノマン』だと
わかったかどうかは謎のままです。

しかしありがたいことに、
どこのどなたかは存じ上げませんが
一枚だけコインを投げてくれたそうです。
奇特な方がいらっしゃるものです。

 

芸人になる前はストリートミュージシャン!?
として、人々を喜ばせていたということです(笑)。

 

ある時はこんなこともありました。

「今度の○○ちゃんの
 結婚パーティ、
 俺が仕切ることになったから」

 

また何かヤラされる。
こんどは一体、何をヤラされるのだろうか。

 

「うちの出し物は、
 新郎新婦が入場するときの
 あの曲を演奏する」

「♪パパパパ〜ン
  パパパパ〜ン
 っていうアレよ」

有名な、メンデルスゾーンの『結婚行進曲』です。

 

「じゃあ楽器の担当を
 発表するよ」

「松!おまえは
 リコーダー(縦笛)」

「僕がリコーダーなんですか!
 吹けるかなあ」

「お前もやっただろ、
 小学校時代!
 あの楽器は義務教育!
 国民全員が
 できるんだよ」


と嘘か真かわからないことを言い切り、
会社の備品入れの引き出しから
リコーダーを取り出して、
松の前に置きました。

ちなみにうちの会社は、
その類の楽器が普通にあるのです。

なぜか?

社員が演奏好きというわけではありません。
ある時社員の結婚式の際、
「余興」のために社内備品として買ったからです。

社長がアマダサンだと、
社内の風景も彩り豊かになります……。

 

「それから、
 外部の人だけど
 ピアニカとして
 参加してくれることに
 なったから」


と、ちょうどそのタイミングで会社のドアが開くと、
今回結婚する方々と馴染みのある女性がやってきました。

「こんにちは〜。
 太郎さんに声かけられて
 やってきました〜」

「お、来た来た。
 ちょっとそこ座ってて。
 今うちのメンバーの
 担当楽器を発表してるから」

「じゃあ、続けるよ。
 リコーダーは松、
 ピアニカは○○ちゃん」

「そしてユキ!
 おまえはトランペットな」


えっ、、、、、えぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!!!

たしかにトランペットは持っています。
小学生時代、
学校のマーチングバンドで演奏していたからです。
それを「念の為」、会社においていたのです。

トランペットを吹いていた、
といってもそれは随分昔のこと。
いま演奏しろと言われても困ります。

「太郎さん、
 私もピアニカあたりに、、、」

「いいんだよ、
 トランペットで。
 楽器に幅があったほうが
 美しい音色になるんだから」


楽器の幅を広げて美しい音色に。
なんだかとってもプレッシャーです。

「じゃあ、みんな。
 いまから15分あげるから
 各自練習して」


え? 今から練習?

15分間、各自で練習したあと、
合同練習にうつるようです。

ワタクシなど、
トランペットの、どの部分をおさえたら
ドレミファソラシドの音がでるのか、
それすらも忘れていたので
ネットで調べるぐらいしかできませんでした。

「そろそろい〜い?
 一旦みんなで合わせて
 練習するよ」

「パーやんは神父役、
 俺が新郎新婦役になるから。
 で、ここで待機してて
 演奏がはじまったら
 歩きはじめるよ」

「じゃみんな、
 準備は大丈夫?
 いくよ」

「新郎新婦、入場!」


アマダサンの号令で、合同練習ははじまりました。

以下がその時の模様です。

注)ひどい音が出ます。
  音量などにご注意ください

ここまではまとも・・・

 

大変お聞き苦しい演奏、失礼いたしました。

 

ちなみにワタクシの母は
「なんか嫌なことでもあったら、
 絶対この演奏を聴いちゃう(笑)」
と涙をこぼしながらバカうけ。
大事に音源を保存しています。

 

演奏を終えると、
アマダサンはワタクシにむかってひとこと。

「ユキ、おまえ
 最〜高っ♡」


と満面の笑みを浮かべていました。

どこがだよ!! 嫌だよ、嫌なんだよー!
本当にワタクシ、
大勢の前で恥をかきたくありません。

「もう〜〜!
 ちゃんと練習しないと
 無理だって〜」

「あ、いや、
 ユキは練習しなくていい」

「なんでよ」

「おもしれぇ〜から笑」

「やだよ」

「いーんだよ、
 おまえは練習すんな」

 

結局ワタクシは、その後の練習には参加せず、
ぶっつけ本番を迎え、先の有様を披露しました。

 

社長がアマダサンだと、
我々社員は、仕事だけじゃなく、
遊びやら表現力の向上やらにも努めねばなりません。

 

だからとても忙しいのです。

 

ちなみに、、、
やっぱりアマダサンは、
新郎新婦役だけでは物足りず
しっかり「ハーモニカ」を吹いていました。

 

当日のアマダサンがうまかったかどうか?
ワタクシは自分の演奏で冷や汗をかいていた為、
まったく聴いておりません。。。

良かったんじゃないですかね。

 

その後もアマダサンは、どんな服装であろうと
首からミニチュアのハーモニカを下げ、

「おまえ、俺のハーモニカ、
 聴いたことないの!?」


と、事あるごとにハーモニカを演奏。

演奏を聴かされているお相手は、
ええ、もちろん、ほぼクライアント様です。

 

「ハーモニカ
 っちゅうのはなあ、
 息を吐くだけじゃないのよ」

「吸って音を出す時もある」


知ってますが、それが何か?

「息を吸って吐く、
 っていったら
 呼吸じゃない」

「だから俺にとって
 ハーモニカは
 呼吸と同じなんだよね」


大きく出ました。

まるで一流ミュージシャンが
音楽雑誌のインタビューに答えているかのように、
いけしゃあしゃあと
若いクライアント様に話していたのを
ワタクシが聞き逃がすはずがありません。

 

しかしそのハーモニカブームは、
一年でおわりました。

つまりアマダサンは現在、
呼吸をしていないということになりますが、
エラ呼吸にでも切り替えたのでしょうか。

 

「ユキ、俺、実は昔から  
 お笑い芸人が
 やりたかったのよ!」


ハーモニカじゃないんかい!
呼吸するように演奏してたんじゃないんかい。

こうしてアマダサンは、
お笑い芸人になったのでした。。。

 

もうミュージシャンはやめたのかって?

 

実はその後、
息子と双子の娘と共に、
北海道・大雪山で
わざわざ息子にギターを持たせ、
娘にはクラリネットを持たせ、
もうひとりの娘にはタンバリンを持たせ、
自分は軽いハーモニカを持って
登山し、頂上で
親子ゲリラライブを
行っています。

その時の話は、また折をみて。

意外とミュージシャンな面もある、
うちのアマダサンのなのでした。

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