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2020.10.1

ライターという仕事の“存在価値”とは?

enpitsu

杉崎 孝志

総合プロデューサー、ライター、編集者

ライター歴25年以上。扱うジャンルはエンタメからスポーツ、IT、ビジネスと多岐に渡る。企業経営者、芸能人、スポーツアスリートなどへのインタビュー取材も多い。趣味はキャンプ、料理、子供とのキャッチボール。

デザイナーはレイアウトや色彩のセンスに加えて、イラストレーター、フォトショップなどデザインソフトの知識を要するため、仕事を頼む側にしてみれば「プロにお願いしよう」となりやすい。一方、ライターに関しては、大抵のオトナであれば日本語の読み書きができるというこの国においては特に「予算がないから、文章はこちらで書きます」となりやすい。「プロフェッショナルライターの存在意義って???」という自問自答について、自分なりの回答を改めて考えてみたいと思います。

ライターというと、その名の通り「書き手」のイメージが強いかと思いますが、私は「ものを書く」ということよりも「話を上手に聞く」ということの方がライターの価値なのではと思っています。最近は「プロインタビュアー」などと名乗る方もいらっしゃるようですが、その名称の方が的確にこの仕事の特徴を表していると思います。

大抵の場合は取材対象の基本情報をいただき、それをもとに下調べをして、想定問答を頭に入れてからインタビューに臨みますが、イベント等の取材ではその場で初めてあった人に話を聞くことになりますし、打ち合わせの流れで、何の準備もないままにインタビューが始まってしまうことも少なくありません。そんな時でも、頭をフル回転させて、取材対象者の魅力を引き出すというのは、何年やってもなかなか大変な仕事だなと感じます。

また取材対象者が極度の緊張をしていたり、もともと口数が少なかったりという場合でも、なんとかポイントとなる一言を引き出すのもライターの腕次第。相槌の打ち方、質問の順番などを考慮しながら、なんとか相手の感性を活性化させるための手段を瞬時に講じています。また取材時間も限られていますから、なるべく早くキーワードを引き出すというテクニックも、実はいろいろと駆使しているのです。

私に関していえば、取材記事を書くという仕事の労力のうち、約8割がインタビュー。その内容をまとめて、適切な長さとトーン&マナーの記事を書くのは残りの2割といった感じでしょうか。

「文章を書く」ということがライターの仕事ではありません。そのもととなる想いやこだわり、今後の夢など、取材対象者本人が気づいていなかった「こころのことば」を引き出し、形にするというのが、私たちライターの存在意義であり、対価としてお金を得ることができる業務なのだと、長い間続けてきて最近つくづく感じるところであります。

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