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2020.10.1

制作の現場から

enpitsu

中塚 猛

ライター、ブロガー

広告代理店という格好良さげな職業に騙され、不動産広告にどっぷり浸かり、20と数年。物件コンセプトから、パンフ、チラシ、営業ツールなど、ライティングを中心に調査や取材など不動産に関連するあらゆる広告物に対応する何でも屋。酒を飲むと知らないうちに時が過ぎているタイムトラベラーであり、ライター&ブロガー(不定期)。

人間の生活の基礎である衣・食・住のひとつに携わり、早四半世紀。最近は営業ツールの需要が高く、色々なお仕事をいただいています。不動産を販売している方々が接客時に必須の資料として活用している営業ツール。この営業ツールを作る上で、欠かせないもの、掘り下げたいことなどを制作者の視点からお話しします。ライターにあるまじき筆無精なため、不定期更新の長期ブログになるかと思いますが、末永くお付き合いください。

 

不動産広告ツールの基本は環境調査にあり(その壱)

営業ツールのお仕事をいただいて最初に行うことは、何といっても場所とモノの確認から。私の主観になりますが、結局お客様が「この住まいが欲しい!」となるのは、その住まいが持っているトータルバランスの良さだと思います。そこに住むことで暮らしが如何に良くなっていくのかを想像させることが営業ツールの肝となる部分です。

しかもどちらかというとモノよりも場所の方が大きなウエイトを占めているかと思われ、場所の紹介に欠かせないのが「環境調査書」です。私がツール制作に携わる時にはできあがった環境調査書をいただくことが多いのですが、その内容も距離測りだけのものから、物件の訴求ポイントに合わせて掘り下げられたものまで、広告代理店ごとに違っており、後者の環境調査をいただいた時には、素直に「素晴らしい!」と感心します。

調査の一歩は距離測りから

物件の訴求ポイントとして欠かせない「駅距離」や「生活利便施設の充実度」。昔は距離測りをする際に、ウォーキングメジャー(通称「コロコロ」)を使って、実際に駅から現地までコロコロしていたり、住宅地図を購入して線を引きながら計測したりしていた先輩営業マンが多かったですが、最近ではGoogleマップなどネットを利用すれば、目的地までの最短距離を一瞬で計測してくれるので、環境調査もだいぶ楽になったなと、昔の距離測りを経験した私としては感無量です。

距離測りではざっくり、「交通機関」「公共施設」「商業施設」「教育施設」「公園・スポーツ施設」「医療施設」「金融機関」などのカテゴリーで調査されています。しかし、ツール制作者として言わせていただくと、この距離測りにも物件訴求ポイントに合わせた施設を入れて欲しいとの想いがあります。子育て家族ターゲットのファミリーマンションなら、「塾」や「家族で楽しむグルメ店舗」。シングルやディンクス向けのコンパクトマンションなら、「一人でも入りやすい飲食店」や「趣味を深める各種教室」など、画一的な生活利便施設の距離測り+物件ターゲットに向けた+α施設があればと切に願います。まぁあまり充実しすぎると私の仕事が減ってしまうので、程々で良いのですが・・・。

重要な電車アクセス

環境調査では、距離測りだけではなく最寄り駅からのアクセス調査も行われており、主要駅や人気駅までのアクセス時間が計測されています。また、通勤や終電のシミュレーションも調査されていることも多く、実際の暮らしを想定したこのシミュレーションは営業ツールにはほぼ間違いなく掲載します。通勤時間が短くなるほど、また、終電時間が遅くまで運行しているほど、その駅は便利だという証であり、他の駅との差別化を図ることができるからです。

さらに、最寄り駅から運行する電車が「東京メトロ銀座線」や「JR山手線」、「JR中央線」などであった場合、営業ツールでは「人気路線ランキング」や「沿線駅には○○があるから便利」などのポイントを訴求します。これは、お客様の「こんなに便利な場所に住める」「人気の路線を日常利用できる」という満足度を高め、“そこに暮らす自分”をより良く想像させることを目的としています。

侮ってはいけないバスアクセス

今まで手掛けてきた物件の中には駅徒歩が20分を超えるもの、いわゆるバス便物件もありました。バス便物件の場合は、環境調査書でもしっかりとバスアクセスについて調査されているのですが、駅に近い物件のものほど、バスアクセスの調査がされていないものが多くなる傾向があると思われます。駅徒歩3分以内の物件であれば、「お客はどこかに出かける場合に電車を使うはずだ」という思いがあると思われますが、それは単なる思い込みかも知れません。

バスネットワークの発達した都内では、最寄り駅から運行する路線と違う駅までの時間が、電車よりもバスの方が速かったということが多々あります。特に東京を平行に横断する路線が多い場所ほど、都内を縦横無尽に繋ぐバスの方が速い上に座れることもあるのです。このようなことから、クライアントからバス情報必要無いと明確に指示される以外は、営業ツールにはバス情報もポイントとして訴求できるよう心掛けています。

 

はじめてのブログでは「不動産広告ツールの基本は環境調査にあり(その壱)」を紹介させていただきました。次回は、その弐とさせていただき、「マイカー世帯が少なくなった状況で、カーアクセスは必要か?」「子育て家族に教えたい行政サポート」「歴史を調べると見えてくるもの」をお届けしたいと思います。

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